少子高齢化による社会構造の変化、グローバル化の進展、人工知能(AI)をはじめとした先端技術の高度化等、子供たちを取り巻く環境は大きく変化している。その中で、子供たちが変化を前向きに受け止め、豊かな創造性を備え、持続可能な社会の創り手として、予測不可能な未来社会を自立的に生き、社会の形成に参画するための資質・能力を一層確実に育むことが求められている。本研究会では、平成24年度から教材や人との豊かな関わりを通して、確かな学力・豊かな人間性・たくましく生きるための健康や体力、即ち「生きる力」を子供たちに育んできた。その研究の積み重ねを大切にしながら、平成27年度より「主体的・協働的に探究し、確かな学びをつくり上げる子供の育成」という研究主題の下、個の主体的な学びをより一層充実させるとともに、学び合いの質の向上や深まりを目指して研究に取り組んできた。さらに、「子供にとっての関わりの対象を幅広く捉え、学びの過程を一層充実させること」を目指し、令和2年度以降の研究主題を「主体的・対話的に探究し、確かな学びをつくり上げる子供の育成」と掲げている。「主体的・対話的に探究」するとは、子供が各教科等の「見方・考え方」を働かせ、学び合いながら課題を解決しようと自ら粘り強く取り組むことである。そして、教材や題材、人や自然、社会等、様々な事象や対象との対話、更には自分との対話を通して、自己の内面に目を向けることでもある。そのために教師は、教科等の特質に応じた学習活動を工夫することはもとより、子供たちが学び合いを通して仲間との信頼関係を構築したり、様々なつながりを広げたり深めたりする状況を的確に捉えて働きかける必要がある。「確かな学びをつくり上げる」とは、探究する過程において、子供が課題の発見と解決に向けて必要となる基礎的・基本的な知識及び技能を確実に習得し、発達の段階に応じてそれらを活用するとともに、思考力、判断力、表現力等を育成し、確かなものにしていくことである。そして、子供の実態を基に、教師はこれまで以上に子供の学びの過程を丁寧に捉え、一人一人の個性に応じた多様で質の高い学びを目指すものである。本年度も、個の学びや学び合いの質を高めることで、子供一人一人がより確かな学びをつくり上げ、実社会や実生活の中でも活用していくことができるように各教科等において「子供の姿を基にした実践研究」に取り組み、主題の解明を図ることとする。